浮力

浮力は水泳・水中運動を実施するには、欠かせない要素の一つです。浮力とは簡単にいえば、そのままで“水に浮く力”です。すなわち、アルキメデスの原理のことで、水に(物体=身体)の全部、もしくは一部を入れると、その押し出された水の重さと同じ力で、身体が上方へ押される力のことです。
だから水中で行なうウォーキングやアクアビクスは、陸上での無理な運動で痛めやすい、膝や腰への負担を減らすことができます。また、身体が浮力より大きければ沈み、浮力より小さければ浮きます。同じ体積であれば体重が軽い方が浮き、同じ体重であれば体積が大きい方が浮かびます。浮力に影響する要因は空気と脂肪量ですので、体脂肪が多い女性は男性より浮きやすくなります。リラックスした状態で息を吸いこめば、水に“浮く”ことができます。また逆に吐くことにより沈むこともできます。


エイブルスポーツのスイミングレッスンでは、水慣れはもちろんですが、すべて“浮く”ことからはじまります。“浮ける”ということは水中での重心(力)と浮心(力)のバランスがとれているということにつながります。どのような状態でもバランスよく浮けるということが、どの泳法にもつながります。伏し浮き、だるま浮き、背浮き、流水の中での浮き、といった動作が泳ぐための基本になります。
動作としては浮くだけだから簡単と思われがちですが、このバランスコントロールが最も難しいのです。浮きながら腕を回せば左右のコントロールでクロール・背泳ぎ、手足を曲げ伸ばせば前後のコントロールで平泳ぎ・バタフライになります。水中で浮力を受けると無重力に近い状態が体験でき、抗重力筋の開放により、身体の緊張が取れ、肉体的にも精神的にもリラックスできます。

水温で解説した温度を参考にして、34~36℃の水温(不感温度帯)で水に浮くと、全身が弛緩しα波や浅い睡眠状態のβ波の状態があらわれ、筋のリラクゼーションが認められています。さぁ、これで明日から水中での動きが軽くなるのでしょう!